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*雨より 連詩

   1
静閑な夜更けに
唯一人静寂にふけりつつ
読書をしていると
窓外より突然のヘテロフォニー
窓を打つ滴の群れは
夏祭りの小太鼓のように
涼をはこぶ
 
   2
晴れた日より
くもりが好き
くもりより
雨の日はもっと好き
そして私は悲しみが好き
 
   3
青竹の葉に乗った雨だれが
いつ落ちるかと眺めていたら
風に吹かれて私に降った
 
   4
泣くたびに思い出すの、
涙の理由はいつだって
愛だってこと
雨で濡れた髪が
涙を隠してくれるから
おもいっきり
泣いたりしてみた
 
   5
絹糸のような霧雨が
ベランダの観葉植物に降っている
これを切り取って織り上げたら
さぞ美しい模様になるだろう
そんなことを考えた
 
   6
夕立って好きよ
直情的だと思わない?
 ほかの雨よりも
すぐ止んで 晴れたらきれいな虹が出て……
ね、私たちのケンカみたいよね
 
   7
雨は空間を傷つけ
自分の存在を確保しながら
あるものは屋根に
あるものは土壌に
あるものは私に降りかかる
恋多き娘のように
おのずから恥じらいもなく
飛び込んでくる
 
   8
使えない傘があまりに多いことに気付く
雨のたびにあなたが置いていった安物の傘
それが増え続けているあいだは
傘は私と喜びの中にあり
埃を被るだけの今は
もう 苦しいだけ
 
   9
私は降る
ざあざあと
しとしとと
ばしゃばしゃと
大地に向かって
 
私は陽を避ける
暗い空にこそ映えるから
だがときには
陽を浴びながら
空を泳ぐのもいい
 
私は感傷的だと言われる
鬱陶しいと 嫌らしいと
そして悲観的だなどと言われる
どうやら嫌われ者のようだ
だが悲しいひとに 私はやさしい
しかし残念ながら
彼ら彼女らのために私はいるのでない
私は降る
そのためにここにいる
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