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*立秋

立秋を過ぎた翌日
何か物足りなさを感じて
空を見上げると
そこにはすでに秋の空が広がっていた
残暑はまだ厳しいが
もうあのもくもくした入道雲が見られないかと思うと
酷暑でさえ恋しくなってくる自分が可笑しい
 
過ぎていくものは何もかもが懐かしく感じられる
それは郷愁でもあるのだろう
過去が過去であるとき
現実は常にそこに求められ
吸収されていく
時間は空気清浄機のフィルターを通るように
過去を不純物であるかのように
そこに置き去りにしていき
新しい現在だけを運んでくる
柔らかいそよ風のように


 
わたしたちはやがて夏を忘れる
秋の紅葉のなかで
冬の枯野のなかで
夏が自分と同じ時間にあったことを忘れていく
太陽も入道雲も
その記憶する過去に沈んでしまう
今 水着のわたしたちが
その陽射しのなかで
雪原の寒さと冷たさを忘れているように
わたしたちはやがてこの夏を忘れていくのだ
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