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*残香

電車に揺られながら
今日一日の笑顔の余韻が
まだ頬に残ったまま
ひとり 帰路に就いた
 
ふたりっきりだった頭のなかにも
やがて日常とか周囲の喧噪とかの
大きな濁流が流れ込んできて
 
視界を横切る景色のなかで
ぼんやりと明日の予定だとか考えながら
ついさっきまで隣にあった
温かい手の温もりを思いだしている
 
愛なのか恋なのかそれとも違うものなのか
そんなことすら分からないのに
ふたりの時間を巻き戻して抱きしめている
 
その甘い微笑みの粒が
電車に揺られて
こぼれ落ちてしまわぬように
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