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*夏

きみと
出会ったことが
この夏の
なによりの
出来事だと
僕は感じている
 
きみと
出会った この夏は
もう二度とやってこない
そしてきみとの出会いも
もう二度と起らない
 
今 目を閉じると
きみの姿が浮かんでくる
それは過ぎ去った僕たちの記憶を伴って
その時々の僕の感傷や喜びや
数え切れないほどたくさんの感情の波が
きみの笑顔と共に押し寄せてくる
 
そしてもしも
この夏からきみの姿を全て消してしまったらと
僕は考える
きみのいない海 花火 映画
カフェ 美術館 レストラン
そして歩いた街
 
僕たちはたった一度の夏を共有しただけだった
それは今まで僕が経験してきた夏の
それらのどの夏とも違った季節だった
そしてもう二度と
僕たちは同じ夏を共有することはないだろう
 
ふいに僕は考える
これまで経験してきた多くの夏
それらは毎回違うものだったのだろうかと
そして僕が経験できなかった夏
誰一人として人間が経験できなかった夏
それらは一体どういうものだったのだろうかと
 



やがて 季節は巡り
秋が来て 冬が来て 春が来て
そうして再び また夏が訪れる
そして僕はまた新しい夏のなかに
様々なものを見つけ 学び 喜び 悲しみ
そして乗り越えていくのだろう
知らなければならないこと
知らなければ良かったこと
いろいろな世の中の仕組みを知り
僕はまた新しい夏を経験していくのだろう
 
きみと出会った この夏も
もうすぐ 終わる
この夏の出口に
もうきみはいない
けれども
僕は立ち止まることが出来ない
そうして先へ進み
きみと歩いた この夏を
乗り越えていくのだろう
新しい希望を胸に抱いて

新しい夏を迎えるために
僕がこの世界をもっと知るために
もっと注意深く 世界を見つめるために
僕は歩いていく
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