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*今日の散文

「この曲誰だっけ」ときみが言うのを聞き流して
僕は読んでいる本のページをめくった
二人掛けのソファよりもちょっと長いラブソファの
両端の肘掛けに背中を預けて向き合っている僕たち
ふと目だけをきみに向けると
やっぱりきみは僕の返事を待っていたから
「アヴリル」とつぶやくように言うと
きみは納得したのか「そっか」と言い雑誌に戻った
僕は不意にからんでいるきみの足の感触を思いだす
だからちょっと足を動かして
きみの足の上に乗っかると
「やめてよ」と笑いながらまた僕の上に足を乗せる
その動作につい詩が浮かんでしまった
 
くりかえしくりかえすのは
風のおと川のせせらぎ
きみの足すべすべの足
アヴリルときみの鼻歌
 


なんでか七五調になっていた
感情は七五調の韻文で花開くのか閉じこもるのか
それは分からないけれども
僕がちょっと横目で見た先のコルクボードには
先月書いたサイン付きの詩が貼ってあり
それを見ると別に散文でも感情は書ける気もした
きみは雑誌を読み終えて床に落とすと
「テレビ見よ」と立ち上がり
リモコンを持って戻ってきた
その後ろ姿にちょっと欲情したのは僕だけの秘密

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