写真詩集・On My Own
停まらないもの
刻まれていく
時間のなかで
目に映るもの
映らないもの
太陽がまた昇る
大地の温もりを感じながら
燃え上がる炎の揺らめき
もう見えなくなった黒い塊
虹の向こうでは
光が踊っているのだな
やわらかなステップ
音楽が聞こえる
静かな響き
まどろみのなかにも
聞こえるか?
遠矢の神よ
輝き
そこに光があるから
輝いているのだ
朝日のなかで
街灯のしたで
火焔のもとで
在るもの全てが
同じ祝福を受ける
人も虫も鳥も草も
光に抱かれて
輝いているのだ
そこに光がなくても
夢を語るあなたは輝いている
命が今そこにあるということ
わたしが
そしてあなたが
生きているということ
光の届かない深みにも
命の輝きがある
切実なこころと
やさしさとともに
小さな隙間に
一日が終わるとき
あなたはその一瞬を
まばたきしないように
じっと時計とにらめっこ
一日が始まるとき
あなたはにっこり微笑んで
それからふうと一息ついて
数がひとつ増えた日付を見る
一つの終わりがあって
同時に
一つの始まりがある
ありきたりのようだが
そんな小さな隙間を覗く
いつかの土手で
小さな土手があった
ぼくはそこが大好きだった
うれしいときやかなしいとき
ぼくはそこへ行った
うれしいときには
たのしいうたを
かなしいときには
かなしいうたを
うたった、
ハーモニカを吹いて
ことばは川に吸い込まれ
魚が水面に跳ねた
ぼくは涙を流していた
空を見上げて
空はまぶしかった
川面はもっとまぶしかった
さらさらと流れて
見ているとぼくは落ち着いた
泣くことは子供だけの特権だと思っていた
大人になるって
そういうことだと思っていた
土手はいつまでも変わらない
ぼくだけが変わってしまって
空を見上げても
口遊んでみても
もううたえなかった
もし足をとめることができたなら……
景色のなかに
切り取られる「時間」と「空間」
映るなかの人々
景色のなかに
どこまでいっても
人々は人々であり続ける
真摯な認知とともに
どこまでいっても
停滞と反芻が
闇夜の潮のように
見えないなかでありながら
停滞と反芻が
続いているだけだ
いつまでもどこまでも
滞ることのできないものが
続いているだけだ
In The Sunshine
陽光がビルの谷間から覗いてくる
海を渡り山を越え谷を越えこの部屋まで
林のなかを照らし朝霧にくもりながらこの部屋まで
煌めく陽光は変わらない
一人であるときも二人でいるときも
変わるのは眺める瞳、思う心の奥の意識
風に乗って木の葉が舞う
恍惚としたぬくもりのなかを燻った心が反応する
少しぬるめのコーヒー、一瞬の安らぎの時間に
ふと思うことは、繰り返す日々の美しさ
仕事に追われ日々に追われ休む間もなく過ぎる時間に
ふと思うことは、何もない日々の空しさ
打算的な作り笑いの奥の意識に自意識を隠す
モノトーンの空がビルを隠すように
それでも明日になればまた陽は昇るよ、
いつまでも足踏みしてはいられない
残響
耳を澄ますと 聞こえてくる響き
風が囁く 川面を揺らして
草葉を撫で付けて 笑いながら
僕のこころも 運んでおくれよ
時間の波を飛び越えて
あの頃の残り香がまだ匂ってる
そんな気がするんだ
草いきれと共にざわめく草葉
笑ってる 笑ってるんだ
僕はうまく笑えないよ
太陽が眩しくて
痛いほど感じた 真面目に輝いてるんだ
遠くから 響いてくる囁き
僕はもう 笑えなかった
そのままがいいよ
一人でいたりなんかすると
何もない時間があったりして
今、自分はどういう状態なのだろうとか
思うときがある
そんなときの自分は
自分のほんとうの自分なんだろうか
何にもないときの自分
そのままの僕がそこにいて
ほんとうにそれでいいのか分からないけど
きっとそれでいいんじゃないかと
思いたいものだ
僕は どこへいっても 僕なんだ。
神話
ひとところに人々が集まって
文化が生まれ
社会が成立した
それでも初めに神があった
神は最初から沈黙していた
人々は神を敬い
助け合い励まし合い
互いに愛し合った
それでも神は沈黙していた
違う神を敬う民族が
宗教と習慣の違いで
小競り合いを起こすとき
憎しみ合い苦しめ合い
互いに殺し合った
それでも神は沈黙していた